SARS(重症急性呼吸器症候群)について
2002年11月、中国南部の広東省で新型肺炎の患者が報告されたのに端を発し、香港やシンガポール、ベトナムなどのアジア各国とカナダを中心に32の地域や国々に拡大した。国際保健機関(WHO)は2003年3月に全世界に向けて新型肺炎の流行に関する注意喚起を発表。その後、流行地域への渡航延期を勧告した。
病原体は新型のSARSコロナウイルスで、症状は発熱、悪寒、筋肉痛などインフルエンザに似ている。コウモリ由来の可能性が高いとの説があるが、起源や感染経路などはま だ不明。中国広東省で最初にSARS症例が報告されてから翌年2月までWHOに公式報告されなかったため、各国での封じ込め対策が遅れ、中国政府は国際的な批判を受けた。
患者数は約84,000人で死者は約800人。30〜50歳の若年成人が多い。有効な治療法やワクチンはない。しかし、隔離と検疫対策が功を奏したのか、WHOは2003年7月に終息宣言を出した。