コレラについて
コレラ菌で汚染された飲食物を摂取することによって激しい嘔吐(おうと)と下痢を伴って著しい脱水症状に陥る感染症。国際保健機関(WHO)によると毎年、約130〜400万人の患者が発生し、21,000〜143,000人が死亡しているといわれる。
19世紀にインドを発生起源として世界中に広まり、文政5(1822)年、オランダ船から持ち込まれたのが国内で初めての流行。安政5(1858)年には長崎に入港した米軍艦の乗組員が持ち込んだコレラが全国にまん延した。まだコレラ菌は発見されていないため病名はなく「コロリ」と呼ばれ、死者は10万人とも26万人ともいわれる。明治10(1877)年には、西南戦争に参戦した兵隊や警官の間で感染が広がり、その後全国でも流行した。
大正5(1916)年にも国内で流行し、県内ででも各地で患者が発生した。昭和37(1962) 年には台湾で感染が拡大し、台湾から帰港した船員の隔離や、台湾バナナ の輸入などを巡って社会問題となった。その後、国内はで上下水道の整備が進むなど衛生環境が向上するとともに、感染は激減した。
ドイツの医学者ロベルト・コッホがコレラ菌を発見したのは1883年。小国町出身の北里柴三郎はドイツに留学し、コッホに師事した。北里はペスト菌を発見し、破傷風の治療法を開発するなど日本の感染症医学のパイオニア。